黒石岳の遭難

昨年末に続き、また山仲間を失くしてしまいました。
遭難者S田氏と初めて会ったのは42年前の冬で、私がまだ18の若造だった時です。
中学生三人が大日峠に登ったまま帰らず、捜索願が出されました。 その捜索にS田氏と一緒に行動させてもらい、遭難捜索初出動の私は、S氏から捜索に関するさまざまなことを教わりました。
その後も数多くの遭難事案に出動した経験を持つS氏が遭難とは・・・。

参考に、下に地図と概念図を貼りました。
 

S氏は単独で18日に静岡を出発、19日に山に入ったと思われます。
目的は黒石岳と千代峠(どこにあるのか私は知りません)の縦走だったそうです。
しかし20日夜になっても連絡も無く、帰宅されないことでご家族が捜索願いを出されました。

21日夕方になって、私達にも連絡が回ってきたのです。 
19日のアメダス南信濃の記録を見ると、日も差さず、かなり寒い日だったことがわかります。 また山の西側、飯田では夕方から積雪が記録されていますし、遠山郷の方からは「山は雪だった」と。

21日
地元山岳会、警察、消防の方々が捜索にあたってくださいました。 またヘリコプターも1時間ほど飛んでくれたようです。
S氏の車は、会戸峠に駐車してあるのが見つかりました。
「1171標高点」に向う尾根?を捜索(市岳連隊6名、「車の置かれていた所から山に入った」という電話での情報)したようですが、他の個所も何も見つけられませんでした。

19:00から市岳連の遭難対策委員会(加盟各団体に1名の遭対委員)が開かれ、22日3:00頃6名が先発。
19:00過ぎから15名程が順次出発することになりました。

22日
14:00過ぎ「沢で漂流物を発見。沢での捜索ができるよう準備を」という連絡が。
15:05 「遺体発見」との知らせ。
その後、「暗くなる前にヘリで収容するので出動解除」との連絡がありました。
以上がS氏遭難の概略です。

091225  概念図(クリックすると大きくなります)

事故は下山中に発生したものと思われます。
上図の1463.4m三角点峰(地元では押出山と呼んでいるそうです)から1171m標高点を通過し合戸峠の車に向って下山中、実線矢印のように50m程滑落(懸垂下降しなければならない急斜面、また現場に雪は無かったとのこと)。 そこには帽子や眼鏡のレンズ(近視)が落ちていたそうです。
滑落跡の下には、ビバークしたらしい焚き火の跡と電源が入ったままのヘッドランプが残されていました。
そして尾根に戻るため?にトラバースをしている途中で再び滑落。
二度目の滑落で致命傷(頚椎損傷)を受けたようです。
遺体発見場所は「押出沢」の710m地点で、車まで30分ほどの場所だったそうです。

S氏は眼鏡が無ければ何もできないほどの近視でした。
最初の滑落で眼鏡が破損。 目が見えないような状況でトラバースしたのが原因の一つかも知れません。
しかし、最初の滑落の原因が判りません。
ヤブ山歩きの経験も長く、地図読みも確かでしたから!

今まで幾つもの遭難に係ってきましたが、どの事案についても????が…。

私も単独で動くことが多く、今年の春先から家内に「誰と一緒? 危なくない?」と口煩く聞かれるようになりました。 それで今年の山行回数が減ったわけではありませんが、「十二分に気を付けねば!」と…。
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22:21 | 遭難・事故 | comments (5) | trackbacks (0) | edit | page top↑
タイトルなし | top | 残念

comments

# 押出山の遭難場所
古い山仲間を失うことは本当に辛いことです。ご同情します。

黒石岳で遭難されたと聞き、なぜこんな山で遭難されたのかと不思議でなりませんでした。この山域が私のホームグランドだっただけに、詳しい遭難場所が気になっておりました。しかし今日の報告を見て納得しました。
地元では1463.4m峰は押手山と呼んでいます。私もこの山を訪れる時は会戸峠に車を駐車します。峠からの登りは山慣れた人には杣道や踏跡を辿れば問題ありませんが、下りは一か所だけ注意する所があります。その場所が実線矢印の場所と思われます。

1117m標高点を東へ下って行くと杣道上に営林署の境界杭№18があり、杣道はそこから押手沢へ向かう支尾根上に続いています。少し下ると長野営林局のプレートと山印の境界杭があり、会戸峠へのルートはそこから直角に東へと曲がらなければなりませんが、余程注意しないとそのまま支尾根を下ることになります。その先支尾根は直ぐに押出沢に急下降します。
この山域の尾根筋には厳しいやせ尾根はありませんが、沢は急峻で深く、押出沢もそのひとつです。

なを千代峠は押手山の北方にある1431mピークの直ぐ南にある1360mの所です。遭難された方はおそらく会戸峠から小嵐神社を経由し千代峠へ、そのあとは尾根通しに押手山から黒石岳を往復、押出山から会戸峠へ戻る計画ではなかったでしょうか。


山仲間のご冥福をお祈りします。

by: 三遠南信 | 2009/12/29 21:59 | URL [編集] | page top↑
# 山
安倍の山伏さんこんにちは。山での遭難事故、ご友人を山で失うのは
辛いものです。私の知人も先日八ヶ岳で遭難してしまいました。
我々もお互いに注意いたしましょう。
今年一年大変お世話になり本当にありがとうございました。
来る年が山伏さんにとって素晴らしい飛躍の年となりますよう
ご祈念申し上げます。
来年もどうぞ宜しくお願いします。
良いお年をお迎え下さい。

来期は南アにも行きたいです★
by: 沢G | 2009/12/30 13:04 | URL [編集] | page top↑
# Re: 押出山の遭難場所
三遠南信さま、詳しい情報を頂きありがとうございます。

尾根上に杣道があるとは思っていましたが、ご指摘のような状況とは考えていませんでした。
なぜ押出川側へ外れたのかが最大の疑問でしたが、一つの?が消えたように思います。

小嵐神社から千代峠への道もあるんですね?
来春以降にでも追悼の意を込めてS氏の足跡を辿ってみたいと考えています。

昨日までの仕事が忙しく、レスが遅くなり申しわけありませんでした。
by: 安倍の山伏 | 2009/12/31 17:48 | URL [編集] | page top↑
# Re: 山
沢グルメさん、こんばんは。

二年続けて、しかも今回は色々なことを教わった先輩が!
直ぐにでも捜索に出かけたいのに、出かけられないもどかしさ…。 しかし、早く見つけられたことがせめてもの救いです。

私も体力以外のことには自信を持っていましたが、なお一層気を引き締めて山遊びに出掛けることにします。

富士山空港ができ福岡も近くなったのでそちらの美渓を尋ねたいのですが、なかなか時間をとることができそうもありません。
南アに来られるようでしたら、早めにご連絡いただけますか?
ご一緒できるよう会社と掛け合ってみます。

安倍の山伏こと 静岡の時間困窮者
by: 安倍の山伏 | 2009/12/31 18:02 | URL [編集] | page top↑
# 地名,山名訂正

明けましておめでとうございます。
浜松は小雪の舞う新年となりました。今年もこのブログ楽しませていただきます。

所で昨年末にコメントした中に誤字がありました。急いでいたので漢字転換に留意せずにそのまま投稿してしまいました。

峠名は合戸峠が正しく、1463.4mの山名は押出山が正解です」。訂正してお詫びします。
by: 三遠南信 | 2010/01/01 12:20 | URL [編集] | page top↑

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